
トレックのドマーネ AL シリーズ は「初心者向けのロードバイク」と紹介されることがありますが、その理由を「価格が安いから」としてしまうのは少し違います。確かに手に取りやすい価格帯であることは間違いありませんが、初心者に優しい本当の理由は、その設計思想にあるのです。
Domane AL Gen4の特徴はジオメトリー
Domane AL2 Gen4はエントリーグレードのドライブトレイン(レベル2)を搭載しており、トレックのロードバイクの中でもっとも価格が抑えられたモデルです。
トレックのロードバイクのドライブトレインのグレードは、モデル名の後半に数字で表示されています。
レベル 2 | Shimano Claris |
レベル 3 | Shimano Sora |
レベル 4 | Shimano Tiagra |
レベル 5 | Shimano 105 / Shimano GRX / SRAM Apex |
ロードバイクのコストパフォーマンスを比較する際は、ドライブトレインのグレードを揃えるのが基本です。アルミフレームに、Shimano 105を搭載するDomane AL5 Gen4とEmonda ALR5と比較すると、価格差はおよそ3万円程度(2025年5月現在)ですが、ジオメトリーには明確な違いがあり、違うキャラクターを持ったロードバイクだと言えます。

ドマーネALには、トレックが「エンデュランスジオメトリー」と呼ぶフレーム設計が採用されています。これは、前後方向に長めのホイールベースと低めに位置するボトムブラケットによって、直進安定性と快適性を高める設計です。
A-シートチューブ、B-シートチューブアングル、C- ヘッドチューブ長、D-ヘッドアングル、E- 実効トップチューブ、G-ボトムブラケット下がり、H-チェーンステー長、I-オフセット、J-トレイル値、K-ホイールベース、L-スタンドオーバー、M-フレームリーチ、N-フレームスタック
ロードバイクに初めて乗る方にとっては、細いタイヤや前傾姿勢、ドロップハンドルなどに戸惑いや不安を感じる場面も多いもの。ドマーネALはそうした不安をやわらげ、安定感のある走りを提供してくれます。
Domane AL Gen 4 vs Émonda ALR 5ジオメトリー比較(52cmサイズ)

ホイールベース | ヘッドアングル ° | ボトムブラケット下がり | |
Domane AL Gen 4 | 100.3 cm | 71.3° | 8.0 cm |
Émonda ALR 5 | 97.7 cm | 72.8° | 7.2 cm |
- ホイールベース:ドマーネALのほうが約2.6cm長く、直進安定性に優れています。
- ヘッドアングル:エモンダALRは1.5°立っており、よりクイックで機敏な操作感を生みます。
- ボトムブラケット下がり:ドマーネALのほうが低い位置に、重心が下がり、落ち着いた乗り味に。
ジオメトリーから読み取れるDomane AL Gen4の特性

まとめると、Domane AL Gen 4は長めのホイールベースと低めのBB位置、寝かせられたヘッドアングルによって、直進安定性と快適性を重視したバイク。ロングライドやビギナーにとっても安心感のある一台です。
一方、Émonda ALR 5は短めのホイールベースと立ったヘッド角によって、俊敏なハンドリングと軽快な走行性能が際立ち、レースやスポーツライドを重視するライダーに適しています。今回は詳しく触れませんが、同じアルミ素材でも、グレードの高いアルミ合金を採用することで、フレームはより軽量かつ高剛性に仕上がっています。
まとめ

Domane AL Gen4が「初心者向け」と言われるのは、手頃な価格というだけでなく、直進安定性を重視した設計が、初めての方でも安心して乗れる特性を備えているからです。
このDomane AL Gen4には、ドライブトレインのグレードに応じて3つのモデルが用意されています。変速性能や重量に違いはあるものの、フレームとフォークは共通のため、走りの基本的な性格は変わりません。予算に応じて選ぶのも、もちろん正しい選択です。
バイク選びは、価格だけでなく、設計の意図や用途に合っているかどうかを見極めることが大切です。気になることがあれば、ぜひお気軽にお店までご相談にいらしてください。